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石原慎太郎「日本は、立ち上がれるか」

 

 

 私くらいの年齢になると誰しも自分の死について考えるのは人の常だが、この頃はそれに重ねて、その頃この日本は一体どんなことになってしまってるのだろうかと考えさせられる。同世代の人間たちにそんな心象について打ち明けると、誰しもが同じことをいう。

スポーツクラブなどで知己のメンバーたちとの挨拶にも時候の挨拶などではなしに、「一体この国はこれからどうなるんでしょうかな」という言葉が頻繁に聞かれる。ある年齢以上の仲間同志のことだが、そうした共通の感慨の内にあるものは今日の政治がもたらした世相世情の混迷と、さらにそれに拍車をかける無能に近い現政権の低迷への、最早絶望感に近い国民の投げやりな心情があるといえそうだ。
歴史は繰り返すというが、今この国の有りさまを眺めるとある古い歌を思い出す。
昭和七年の五・一五クーデタ事件の首謀者の一人海軍士官の三上卓が作った『昭和維新の歌』(「青年日本の歌」=引用者)の名文句、
『権門上に傲れども、国を憂うる誠なし、財閥富を誇れども、社稷を思う心なし。ああ人栄え国滅ぶ、盲たる民世に踊る、治乱興亡夢に似て、世は一局の碁なりけり』
今や、確かにその通りだ。
以下略
(石原慎太郎「日本は、立ち上がれるか」『産経新聞』平成22年4月5日付)

 


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